シックハウス症候群とは

新築やリフォームした住宅に入居した人のが、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC (トルエン、キシレンその他)など揮発性の有機化合物が原因で目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、 頭痛がするなどの症状があらわれることを「シックハウス症候群」といいます。
「シックハウス症候群」についてはまだ解明されていない部分もありますが、化学物質の濃度の高い空間に長期間暮 らしていると様々な健康に有害な影響が出るおそれがあります。
シックハウスの原因となる主な有害物質をまとめてみました。

【ホルムアルデヒド】

みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ホルムアルデヒドは別名、酸化メチレンとも呼ばれ、 毒性は強く、粘膜への刺激性を中心とした急性毒性があり、蒸気は呼吸器系、目、のどなどの炎症を引き起こします。
皮膚や目などが水溶液に接触した場合は、激しい刺激を受け、炎症を生じます。
接着剤、塗料、防腐剤などの成分であり、安価なため建材に広く用いられています。

【アセトアルデヒド】

アセトアルデヒドは人体にとって有毒物質で、ホルムアルデヒドと非常によく似た化合物です。
飲酒後に体内でエタノールの中間代謝物としても生成されます。
アセトアルデヒドには発がん性が有り、膵臓がん、口腔がん、食道がん、咽頭がん、大腸がんなどの発症が高くなります。
体内でのアセトアルデヒドの代謝は、人種・体質によって生まれつき差異があります。

【トルエン】

芳香族炭化水素に属する有機化合物で、別名メチルベンゼン、フェニルメタンと呼ばれます。
トルエンは溶媒として一般的に用いられ、ペンキ、塗料用シンナー、多くの化学物質、ゴム、接着剤などを解することができます。
塗料や樹脂などの建材の溶剤として用いられたトルエンが室内に放出され、強い吐き気を催すことがあります。
長期にわたり繰り返し吸入を続けた場合、回復不能の脳障害を負うことが確認されています。

【キシレン】

キシレンはトルエンについで2番目に排出量の多い化学物質で、主に塗料などを使う工場などの事業所のほか、自動車やオートバイの 排気ガスに含まれて排出されたもので、ほとんどが空気中へ排出されました。
家庭からも、キシレンを含んだ塗料や接着剤、殺虫剤などを使用する際などに空気中へ排出されます。
高濃度のキシレンは、眼やのどなどに対する刺激性や、中枢神経に影響を与えることがあり、
さらに、胎盤経由で母から胎児へ移行することが報告されています。

【エチルベンゼン】

エチルベンゼンの殆どは脱水素化されてスチレンとされ、ポリスチレンを始めとした種々の合成樹脂原料として利用されます。
フェニルエタン 、エチルベンゾールとも呼ばれる炭化水素です。
接着剤や塗料の溶剤、希釈剤として通常は他の用材と混合して用いられます。
高濃度の短期暴露では喉や目に刺激があり、さらに濃度が上がるとになるとめまいや意識低下を起こすことがあります。

【スチレン】

無色または黄色で特徴的な臭気があり、常温では油状の液体です。
ポリスチレン樹脂、合成ゴム、合成樹脂塗料、FRPなどの原料として使用され、高濃度の場合は目や鼻への刺激、眠気、 脱力感、めまいを引き起こすことがあるとされています。

【パラジクロロベンゼン】

衣服を食い荒らす虫、カビなどを忌避するための防虫剤や、トイレ、ゴミの容器などの消臭剤として用いられます。
防虫剤として、パラゾールやネオパラエース、などの商品名で知られています。
防虫剤などのパラジクロロベンゼン製剤は、通常の使用の範囲ではヒトへの健康被害の根拠は示されていませんが、 高濃度のパラジクロロベンゼンの使用は、目まい、頭痛、肝臓障害を起こすとされています。

【クロルピリホス】

殺虫効果を持つことから農薬やシロアリ駆除などに用いられます。
2008年2月、話題となった、中国製の冷凍食品から検出された有機リン化合物です。
改正建築基準法により、居室を有する建築物には使用が禁止されました。
主に神経中毒を引き起こすとされています。

【テトラデカン】

テトラデカンとは石油臭のある、常温では基本的に無色透明な液体で, 灯油や塗料の溶剤に使用されます。
中毒の情報はあまりありませんが、長時間皮膚に接触したような場合には接触性皮膚炎を起こすことがあります。

【フタル酸ジ-n-ブチル】

フタル酸ジ-n-ブチルは、塩化ビニールの可塑剤(塩ビ材料をやわらかくするための添加剤)、 顔料などに使われています。
無色あるいは黄色味を帯びた油状の液体で、健康影響としては喉、 気管支、胃の痛み、皮膚への刺激があるとされています。

【フタル酸ジ-2-エチルヘキシル】

フタル酸ジ-2-エチルヘキシルは、ビニールシートの製造やプラスチック可塑剤に用いられる化学物質で、 無色あるいは黄色味を帯びた油状の液体です。
目や粘膜を刺激し、経口投与実験では軽度の胃腸障害や下痢が認められています。

【ダイアジノン】

ダイアジノンは、有機リン系化合物に分類され、多くは殺虫剤の成分として用いられています。
無色で、特徴ある臭気を持った油状の液体で、吸い過ぎると赤血球コリンエステラーゼの働きを阻害するとされています。

【フェノブカルブ 】

フェノブカルブは、芳香臭のある無色の結晶で、害虫駆除用の殺虫剤として使用されるほか、 マイクロカプセル化して防蟻剤としても使用されています。
揮発性は低いものの、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気、腹痛、縮瞳などの健康障害が確認されています。

【ダニ・カビ】

シックハウス症候群は化学物質を原因とするだけではなく、カビ・ダニなどの生物物質とも絡んで症状をきたすため、 両面の対応が必要です。
室内における高温多湿の環境は、ダニ・カビの増殖に最適な状況であるため、ダニ・カビが原因といわれるアトピー性皮膚炎、 気管支喘息、じんましん、アレルギー性鼻炎、結膜炎、小児急死症候群などの症状を引き起こす危険があります。

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